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TimeTracker と JIRA の連携

概要

JIRA で案件や進捗を管理している組織では、TimeTracker を導入しても既存の運用資産は活かしたい、入力の二重管理は避けたい、という要望がよくあります。
TimeTracker と JIRA の連携は、その要望に対して、JIRA の運用を変えすぎずに、TimeTracker の実績工数を管理判断に活かせるようにするための現実的な方法です。

このページでは、ソフトウェア管理者や決裁権限を持つ方に向けて、次の観点で整理して紹介します。

  • なぜ連携すると価値があるのか
  • どのような考え方で設計すると失敗しにくいのか
  • まずどこから始めると導入しやすいのか
このページの対象読者

ソフトウェア管理者、システム管理者、部門内の決裁権限を持つ方を想定しています。
「現場の負荷を増やさずに導入できるか」「既存の JIRA 運用を活かせるか」「どこまで自動化すべきか」を判断したい方に向けた内容です。

この連携で得られること

TimeTracker と JIRA の連携は、単なるデータ転記ではありません。
管理者や承認者の立場では、実績工数を伴った判断ができるようになることに大きな価値があります。

観点得られること
既存資産の活用JIRA で管理している案件・課題・進捗の流れを維持できる
入力負荷の抑制TimeTracker と JIRA の二重入力を減らせる
管理精度の向上実績工数をもとに、進捗確認や見直し判断をしやすくなる
導入のしやすさ定期バッチや API を使って、段階的に連携を始められる

特に、次のような組織には効果が出やすいです。

  • JIRA はすでに定着しており、管理基盤として使い続けたい
  • TimeTracker で収集した実績工数を、会議や承認の判断材料として活かしたい
  • 現場の入力負荷を抑えながら、管理の精度を上げたい

なぜ「やってみる価値」があるのか

TimeTracker を単独で使うだけでも工数管理はできますが、JIRA と連携すると、管理の流れに実績工数を自然に組み込めるようになります。

たとえば、JIRA 側では案件や課題の進捗を見ながら、TimeTracker 側では実績工数や作業の内訳を把握できます。
この 2 つがつながると、次のような判断がしやすくなります。

  • 遅れている案件は、単に進捗が悪いのか、実績工数が想定より膨らんでいるのか
  • 特定メンバーへの負荷集中が起きていないか
  • 今後の見積もりや計画の見直しに、どの実績を根拠として使うか

つまり、連携の価値は「データを移すこと」ではなく、既存の管理プロセスに、実績という事実を持ち込めることにあります。

まず決めるべきこと

連携を成功させるには、最初に「何を同期するか」と「どちらを正とするか」を決める必要があります。
ここが曖昧なまま実装を始めると、後から運用ルールを作り直すことになり、管理負荷が高くなります。

概要は以下のイメージです。

最初に整理したいのは、次の 2 点です。

  • 同期する情報:(例) 計画工数、実績工数、期間、成果量、担当者
  • 同期の方向 :JIRA → TT、TimeTracker → JIRA、双方向のいずれにするか

この 2 つを先に決めておくと、更新責任や運用フローも定めやすくなります。

おすすめの進め方は TimeTracker → JIRA

以下の2つの理由から、まずは TimeTracker → JIRA を基本線として考えるのがおすすめです。

1. 双方向同期は運用が複雑になりやすい

双方向同期は一見便利ですが、同じタイミングで TimeTracker と JIRA の両方が更新されると、排他制御や競合解決が必要になります。
管理上は、「どちらの値を正とするか」で揉めやすく、情報喪失のリスクも高まります。

2. TimeTracker の方が保持したい情報量が多い

TimeTracker では、実績工数だけでなく、誰が・いつ・何に・どれだけ時間を使ったかという詳細な情報を持てます。
そのため、JIRA → TimeTracker の片方向だけでは、TimeTracker 側で活かしたい情報を十分に表現できないことがあります。

つまり、TimeTracker で実績を集め、それを JIRA 側の管理に活かす流れの方が、導入しやすく、運用も安定しやすいということです。

判断のポイント

まずは「どこを入力の起点にするか」を 1 つに寄せると、ルールがぶれにくくなります。
多くの組織では、実績の起点を TimeTracker に寄せる方が整理しやすいです。

JIRA と TimeTracker をどう紐づけるか

連携のためには、JIRA の課題と TimeTracker のアイテムを、あとから迷わず対応づけられるようにしておく必要があります。
そのために使いやすいのが、JIRA の Issue Key です。

PROJ-123 のような Issue Key を TimeTracker 側にも持たせておくことで、どのアイテムがどの JIRA 課題に対応するのかを明確にできます。
TimeTracker 側にその情報を持たせる方法として、実運用では アイテムコードに Issue Key を設定する方法 が現実的です。

Professional Edition であれば、専用のカスタムフィールドを使うことができます。

導入前に、次の 2 点を決めておくと運用が安定します。

  • 同期対象にするアイテムを決める
  • 各アイテムに対応する Issue Key を決める

以下は、TimeTracker 側の入力イメージです。JIRA の Issue Key をアイテムコードとして持たせることで、対象の追跡と説明がしやすくなります。

この方法なら、管理者は「どの工数がどの課題に紐づくか」を追いやすく、決裁者も「どの単位で集計・反映されるか」を理解しやすくなります。

小さく始めるなら「実績工数だけの連携」がおすすめ

連携を始めるときに、最初からすべての項目を同期しようとすると、運用設計も調整も重くなります。
そのため、最初は 実績工数だけを連携対象にする 進め方が現実的です。

同期の方法は、大きく 2 つに分けられます。

Step内容JIRA への反映向いているケース
1実績工数のみを同期する追加まずは小さく始めたい
2実績工数以外の情報も同期する上書き担当や期間も含めて統一したい

Step 1: 実績工数のみを同期する

TimeTracker の実績エクスポートなどで実績工数を出力し、Issue Key 単位で集計して JIRA に反映する方法です。
既存の JIRA 側の情報を活かしながら、工数だけを追加できるため、導入の負担を抑えやすいのが特長です。

この方法は、次のような判断をしたい組織に向いています。

  • まずは会議やレビューで、実績工数を見られるようにしたい
  • 現場への影響を最小限にして、連携の有効性を確かめたい
  • 大きなシステム変更を伴わずに始めたい

Step 2: 実績工数以外も同期する

担当、期間、その他の管理情報も含めて統一したい場合は、TimeTracker の Web API を使って対象アイテムの情報を取得し、Issue Key をキーにしたテーブルを作って JIRA に反映します。

こちらは柔軟ですが、その分だけ「どちらを正とするか」「上書きの責任を誰が持つか」を先に決める必要があります。
そのため、導入初期は Step 1 から始め、必要性が見えた段階で Step 2 に広げる進め方がおすすめです。

実際の運用イメージ

運用は、バッチなどで定期実行する形が扱いやすいです。
日次、週次、月次のどれにするかは、定例会や承認フローに合わせて決めます。

たとえば、週 1 回の定例会で使いたいのであれば、週次で集計・反映するだけでも十分に価値があります。
「リアルタイム連携でないと意味がない」と考える必要はありません。
むしろ、最初は定期実行の方が責任範囲を整理しやすく、障害時の切り戻しもしやすいです。

基本の流れ

  1. 同期対象のアイテムを決める
  2. TimeTracker のアイテムコードに Issue Key を設定する
  3. 同期プログラムを定期実行する
  4. 集計結果を JIRA に反映する

以下の図は、PowerPoint の内容をもとに再構成した、コード一覧から実績工数を取得する流れです。

実現する際のデータの流れ

TimeTracker の Web API を使うと自動化しやすくなります。
以下は、実現イメージです。

取得したデータを Excel 形式や集計表へ加工すれば、プロジェクト単位・Issue Key 単位での実績集計にそのまま使えます。
決裁者の視点では、「まずは試し、その後に自動化する」という段階的な進め方が取りやすい点もメリットです。

この事例から学べること

この連携事例のポイントは、最初から大規模な仕組みを作ることではありません。
まずは小さく始めて、管理判断に使えることを確認し、必要に応じて広げていくことが重要です。

その意味で、次の順番で進めるのが分かりやすいです。

  1. 実績工数だけを対象に連携する
  2. 定例会や承認の場で、本当に判断がしやすくなったかを確認する
  3. 効果が確認できたら、対象項目や自動化の範囲を広げる

この進め方であれば、現場に過度な負担をかけずに、管理側の納得感を持って導入を進められます。

まとめ

TimeTracker と JIRA の連携は、既存の JIRA 運用を活かしながら、TimeTracker の実績工数を管理判断に活かすための現実的なアプローチです。

特に重要なのは、次の 5 点です。

  • まず「何を同期するか」「どちらを正とするか」を決める
  • 基本は TimeTracker → JIRA を起点に考える
  • 紐づけは Issue Key とアイテムコードで整理する
  • 最初は実績工数だけの連携から始める
  • 効果が見えたら、対象項目や自動化範囲を広げる

JIRA の既存運用を活かしながら、実績という事実を管理プロセスへ取り込める点が、この連携の魅力です。
「現場の入力負荷を増やさずに、管理の精度を上げたい」と考えている組織にとって、取り組む価値のあるテーマです。