NX 使用時の注意点
概要
TimeTracker NXでは、旧バージョンから機能の仕様が変更されたり操作感が変わったものがあります。
これらの点にはご利用上注意が必要になります。
その内容について個別に紹介しますので、Web版ご利用上の参考にしてください。
1. 用語の変更
TimeTracker NXでは、これまでのTimeTracker FXで使用していた用語が以下のように異なります。
TimeTracker FX | TimeTracker NX | 説明 |
---|---|---|
ノード | ワークアイテム | WBSを構成する要素 |
タスクパッケージ | パッケージ | タスクをまとめる単位のノード |
プランナー | プロジェクト | プロジェクト管理機能の名称 |
Administrator | Admin | システム管理機能の名称 |
2. アクティビティから工程分類・作業分類へ
これまでのTimeTracker FXでは、タスクをプロジェクト横断の横串で集計するためのものとしてアクティビティがありました。
5つのアクティビティカテゴリについて、システム単位で定義したそれぞれの選択肢(アクティビティ)をタスクに
設定することで、プロジェクトをまたいでアクティビティ単位の工数集計が可能でした。
TimeTracker NXでは、アクティビティに替わるしくみとして「工程分類」と「作業分類」が搭載されました。
これらはタスクではなく、実績工数を分類するためのものになります。
タスクの既定の設定として工程分類と作業分類を指定することで、アクティビティと同様の利用も可能です。
工程分類・作業分類のメリット
工程分類/作業分類を活用することで、以下のメリットがあります。
-
必要な項目だけ選択リストに表示
従来のアクティビティではシステムで定義された項目がすべて選択リストに含まれていたため、
部署ごとのアクティビティを多数定義しているような場合はリストが膨大になり、タスクへの設定が大変煩雑でした。工程分類・作業分類では、システムで定義された項目のうちプロジェクトで使用する項目が選択できます。
必要な項目だけが選択リストに表示されるので、これまでの煩雑さが解消されます。 -
タスクより細かい個別の実績工数単位で工程分類・作業分類が設定可能
同一タスクでも、工程分類と作業分類を区別してより詳細に集計することが可能です。 -
シンプルなWBS構成を実現
タスクを必要以上に増やすことなく、シンプルなWBSでありながら工程分類・作業分類を活用して
詳細な工数分析が可能になります。- これまで
「設計」というパッケージに「設計書作成」「設計レビュー」「設計レビュー指摘修正」というようなタスクを作成していた - これから
「設計」タスク1つだけで同様の工数集計が可能です。「レビュー」「指摘修正」などの区別は作業種別で行います。
- これまで
注意点
バージョンアップの際、従来のアクティビティのデータは工程分類と作業分類に移行されます。
ただし、最大2つのアクティビティカテゴリまでしか移行できません。
バージョンア ップ時の指定により、どのアクティビティカテゴリと工程分類・作業分類を紐づけるかが指定可能です。
3. タイムシートへの予定インポート
OutlookやNotes、サイボウズといったスケジューラーの予定表のタイムシートへのインポートは、
多くのユーザーの方に利用いただいている大変便利な機能です。
もちろんTimeTracker NXでも活用可能です。
ただ、利用手順に以下のような違いがあります。あらかじめご留意ください。
事前設定
OutlookやNotesの場合、これまでのTimeTracker FXでは連携対象のアプリケーション名を指定するだけで
予定インポート機能が利用できました。
TimeTracker NXでは事前に連携対象アプリケーションのURLやログイン情報を各ユーザーが設定しておく必要があります。
画面右上に表示されているログイン中のユーザー名の右にある[v]をクリックし、
[ユーザー設定]‐[タイムシートの設定]‐[予定のインポート]タブで設定します。
また、Microsoft Outlook(Microsoft 365)やGoogleカレンダーを利用する場合は、
[システム設定]で管理者による設定が必要です。
予定インポートと同時に実績を自動入力
予定の本文中にTimeTracker FXのタスクを特定する文字列情報(ノードパス)を記述しておけば、
予定インポートを実行した際に予定が自動的にTimeTracker FXの実績として入力されます。
これも大変便利なしくみでした。
TimeTracker NXでも同様に利用できます。
ただ、タスクを特定する情報に変更がありますのでご注意ください。
WBS上のタスクのパスを示すノードパスではなく、タスクごとに用意されたURLを予定の本文中に記述しておく必要があります。
タスクのURLを確認する方法は以下のとおりです。
- タスクが含まれるプロジェクトの画面を開く
- WBS上で、該当のタスクを選択する
- ブラウザのアドレスバーに表示されているURLを確認する
URLをそのままコピーして、予定情報に貼り付けると便利です。
なお、Web版とデスクトップ版を併用してどちらのタイムシートでも利用する場合は、
デスクトップ版用のノードパスとWeb版用のURLを両方予定の本文中に記述します。
4. タスクの階層化
TimeTracker FXでWBSを階層化する際には、「タスクパッケージ」を親ノードとして追加しました。
TimeTracker NXでは、「パッケージ」に加えて「タスク」でも子アイテムを追加してWBSを階層化することができます。
ただし、配下にタスクが存在するタスクでは、実績を入力することができません。
また、タスクの子アイテムにはタスクのみが追加できます。
5. マイルストーンの設定
TimeTracker FXでは、ノードの種類として「タスク」「タスクパッケージ」「マイルストーン」の3種類がありました。
TimeTracker NXでは、(ノードに相当する)ワークアイテムの追加時には、「タスク」と「パッケージ」の2つから選択します。
マイルストーンを設定するには、タスクまたはパッケージを選択して、右クリックして表示されるメニューから
[マイルストーンに設定]を実行します。
6. プロジェクト編集のUndo/Redo
プロジェクト管理画面上の編集内容は、UndoやRedoができません。
なお、ワークアイテムを削除した場合はプロジェクト管理画面左下の「ごみ箱」から復元が可能です。
7. WBSのコピー
TimeTracker NXではWBSをコピーする場合、アイテムのコピー&ペースト機能かテンプレート機能を活用します。
アイテムのコピー&ペースト機能は、同一プロジェクト内のWBSをコピーしてワークアイテムを作成するような場合に利用します。
テンプレート機能は、他のプロジェクトからWBSをコピーしてワークアイテムを作成するような場合に利用します。
アイテムのコピー&ペースト
以下の方法により、任意のプロジェクト内のWBSを簡単にコピーできます。
利用するブラウザによっては他のブラウザへコピーできないなど、コピー先の指定に制約があります。
-
コピー対象のワークアイテムを選択する
-
選択したワークアイテム上で右クリックする
-
コンテキストメニューから[アイテムのコピー]-[アイテムをコピー]を選択する
備考Ctrl+cのショートカットキーでもコピーできます。
-
コピーするアイテムの親になるアイテムを選択する
-
選択したワークアイテム上で右クリックする
-
コンテキストメニューから[アイテムを貼り付け]を選択する
備考Ctrl+vのショートカットキーでも貼り付けられます。
選択したワークアイテムの子アイテムとして、コピーしたワークアイテムが追加されます。
ワークアイテムは複数選択してコピーすることもできます。
また、選択したワークアイテムに子のワークアイテムがある場合、子のワークアイテムを含めてコピーします。
コピーするフィールドについてはこちらをご確認ください。
テンプレートからのコピー
以下の方法により、テンプレートとしたWBSをドラッグ&ドロップで簡単にコピーできます。
-
[WBSテンプレート]アイコンをクリックする
-
「テンプレートにするプロジェクト」を選択する
-
コピーしたい範囲のタスクを選択する
-
選択したタスクを、プロジェクト編集画面のWBS上にドラッグ&ドロップする
[コピーするフィールド]ボタ ンよりコピーするフィールドを選択できます。選択可能なフィールドは以下のとおりです。
- リソース割り当て、計画期間(開始日・終了日)、計画工数/コスト、成果量、カスタムフィールド
これらのフィールドは初期状態では未選択の状態(コピーされない状態)です。
8. 値やリソース割り当てを子に反映
TimeTracker FXでは対象のフィールドで決定方法を[親ノードの値]に指定する必要がありましたが、
TimeTracker NXではタスクのフィールドに親と同じ値を設定する場合にまとめて一括で設定することができます。
対象のアイテムを右クリックして表示されるメニューから[選択フィールドを子に反映]か
[リソース割り当て]-[リソース割り当てを子に反映]を選択するだけで、
対象ノード以下の全ノードに対して同じ値をまとめて設定することができます。
9. カスタムフィールドの設定
標準では用意されていない列(フィールド)を利用するには、これまではプロ ジェクトごとに
カスタムフィールドを設定して利用することができました。
この制約として、プロジェクトを横断して管理する場合はプロジェクトごとに設定したカスタムフィールド情報を
利用できないという点がありました。(ピボット分析機能など)
TimeTracker NXでは、システム全体で定義したカスタムフィールド情報を前提に、
各プロジェクトにおいて必要なものを選択して利用する形式に変わりました。
これにより、プロジェクト横断でもカスタムフィールドを活用した進捗確認・プロジェクト評価が格段にやりやすくなっています。
10. ピボット分析
ピボット分析は、TimeTracker FXと同じように集計軸を自在に設定し工数やコストを集計できます。
ここではTimeTracker FXとTimeTracker NXのそれぞれの設定項目一覧を比較することで差異を紹介します。
TimeTracker FX 設定項目一覧
TimeTracker FXでは、出力テーブルごとに集計する項目や集計する単位の粒度が異なります。
No. | 出力テーブル | 集計項目 | 推移表示 | 粒 度 |
---|---|---|---|---|
1 | プロジェクト | 実績工数・実績コスト | ○ | プロジェクト |
2 | タスク | 実績工数・実績コスト | ○ | タスク |
3 | プロジェクト×アカウント | 実績工数・実績コスト | ○ | プロジェクト |
4 | タスク×アカウント | 実績工数・実績コスト | ○ | タスク |
5 | メモ | 実績工数・実績コスト | ○ | タスク |
6 | リソース負荷 | 計画工数・計画コスト・実績工数・実績コスト | ○ | プロジェクト |
7 | プロジェクトサマリ | 計画工数・計画コスト・実績工数・実績コスト | × | プロジェクト |
8 | すべてのタスク | 計画工数・計画コスト・実績工数 ・実績コスト・計画成果量・実績成果量・カ スタムフィールド | × | タスク |
TimeTracker NX 設定項目一覧
TimeTracker NXには、以下の2つの出力テーブルがあります。
No. | 出力テーブル | 集計項目 | 推移表示 | 粒度 |
---|---|---|---|---|
1 | 工数とコスト | 実績工数・実績コスト・計画工数・計画コスト | ○ | フォルダ(パッケージ) |
2 | すべてのデータ | カスタムフィールド含むフィールド(※) | × | タスク |
※詳細は「利用可能なフィールド」をご参照ください。
また、TimeTracker NXでは以下の機能が利用できません。
- 集計したデータのグラフ化
- ビュー設定のインポート・エクスポート
11. Excel連携アドイン
Excel連携は、TimeTracker FXと同じようにワークアイテムの情報をExcelにインポートしたり、
Excel上のデータをワークアイテムにエクスポートすることができます。
ここでは、TimeTracker FXとTimeTracker NXの差異についてご紹介します。
- TimeTracker FX
Excel連携の際に、TimeTracker NXのプランナー画面を表示しておく必要がありました。 - TimeTracker NX
プロジェクト画面を表示しなくてもそのまま連携機能を利用できるようになりました。
TimeTracker FXと同じ機能でも、その機能を実行するExcelリボン上のメニュー名が変更されているものがあります。
以下の表は、TimeTracker NXでの機能(Excelリボン上のメニュー)とTimeTracker FXとの対応関係を示しています。
機能一覧表
No. | TimeTracker NX | 備考 |
---|---|---|
1 | インポート | TimeTracker NXの新しい機能です。TimeTracker NXのデータをインポートして新しい表を作成します。 既存の表を指定した場合は、表の末尾にデータをインポートします。 |
2 | 最新データを取得 | TimeTracker FXの「インポート」に相当します。 |
3 | データを反映 | TimeTracker FXの「エクスポート」に相当します。 |
4 | Webで開く | TimeTracker FXの「開く」に相当します。対象のワークアイテムをブラウザ上に表示します。 |
5 | 表を選択 | TimeTracker FXの「表を選択」に相当します。 |
6 | 接続情報 | TimeTracker NXで追加されたメニューです。TimeTracker NXと連携するための接続情報を設定します。 |
7 | コメントを削除 | TimeTracker FXの「コメントを削除」に相当します。 |
8 | 更新データをコメントに追加 | TimeTracker FXの「更新データをコメントに追加」に相当します。 |
なお、TimeTracker FXのExcel連携で利用していた帳票は、そのまま利用することができません。
データの関連付けを変更する必要があります。ご承知おきください。
12. Web版・デスクトップ版併用について
TimeTracker NXでは、新しいWebアプリケーションと従来のデスクトップ版アプリケーションを併用することが可能です。